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マリアは急いで、ユダヤの丘陵地帯に住んでいるいとこエリサベトを訪ねた。マリ
アが家に入り、あいさつすると、エリサベトは胎内の子が喜んで飛びはねるのを
感じた。


エリサベトは聖霊に満たされて、目の前に立っている女性が神の子の母であること
を知った。


「ああ、女のなかでもっとも祝福されたかた!」と彼女は叫んだ。「あなたのお
声を耳にしたとき、胎内の子があどるのがわかりました。あなたがわたしのところ
に来てくださるとは、なんと名誉なことでしょう!」


そこでマリアは、次のような賛歌を歌った。「わたしの魂は主をあがめ、わたしの
霊は救い主である神を喜びたたえます。身分の低い、この主のはしためにも目を
留めてくださったからです。今からのち、いつの世の人も、わたしを幸いな者とい
うでしょう、力あるかたが、わたしに偉大なことをなさいましたから。その御名は尊
く、その憐れみは代々に限りなく、主をおそれる者におよびます。主は飢えた人を
よいもので満たし、富める者を空腹のまま追い返されます」


マリアはエリサベトのもとに3か月とどまり、ナザレの家へ帰った。まもなく、エリ
サベトは男の子を産んだ。エリサベトの親類も、近所の人々も、神がエリサベト
にこれほどの恩恵をあたえたことを大いに喜んだ。8日め、赤ん坊に割礼を施す
日がきた。


「父親の名をとってザカリアと名づけよう」と親類の人々はいった。「いいえ」エ
リサベトはいった。「この子の名はヨハネです」


「しかし、あなたの親類にヨハネという名の人はひとりもいない」と彼らはいい、
ザカリアに向かって、この子に何と名をつけたいかとたずねた。


いまだに口のきけなかったザカリアは、書くものがほしいと身振りで示した。そして
まわりにいる人々がおどろいたことに、ザカリアは大きな字で、「この子の名はヨ
ハネ」と書いたのである。たちまちザカリアは口がきけるようになり、すぐさま神
に感謝をささげ、賛歌を歌いはじめた。


まもなく、エリサベトに特別な子どもが生まれたという話が、ユダヤの丘陵地帯
に広がった。その話を耳にしただれもが、それが大事件であり、そして主がその
子とともにおられることを知ったのである。




         *おとなと子どものための聖書物語より  フレーベル館*
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